フリーランスフリーラン

とくにないです

カレー屋で意識高い系の舌戦が繰り広げられていた

オフィス出社日でした。

 

普段は誰とも関わることもなく、社員旅行の日程すら知らされずにいるのに(出社したら誰もいなかった)今日はやたらと仕事を依頼される日でした。システムの改修云々、アプリ開発云々、あまりに物事を考え、人と話し、ソースコードを書いたので疲弊してしまった僕はオフィスの帰りに大好物のカレーを食べに行くことに決めたのでした。

 

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世界で一番美味しいものそれはカレーです

 

美味しい。何かスパイス的なものが効いていて口に入れる度に身体中が燃え上がるし、牛カツは噛む度に旨味が口一杯に広がるものの歯ごたえがあるので誤って舌を噛むし、喉が渇いたのでボトルから水を注ごうとしたら蓋が外れて大惨事になりました。美味しかったです。

 

そんな感じで一人カウンター席で舌鼓を打っていたのですが、決して広くはない店内を支配する声量を持つ魔物が二体、僕の後ろ側のボックス席に鎮座し、まるで魔法の詠唱のように矢継ぎ早に意識の高い言葉を交わし合っておりました。

 

意識高い系女子A:

「ネパールで食べたお肉はこういうのじゃなかったんですよ。私、最初に食べた時にカルチャーショックを受けました。世界って広いんだなって」

 

意識高い系女子B:

「あるよね。日本には日本の良いところがあるけれど、やっぱり外国に行かないとわからないことって沢山あるから、みんなどんどん外国に行って色んな事を学ぶべきだと思う。外国に行ったことのない人は人生の半分を確実に損してる。もう人格を疑うレベル

 

なんと言うことでしょう。僕は外国どころか四国にすら行ったことがありません。それどころか九州にも行ったことはないし、北海道には一回行ったことがあったかもしれませんが、社員旅行で皆の前で一気飲みをさせられて泥酔した思い出しかないので実質ノーカウントです。

 

なんだ…僕は確実に損をしていたのか?

 

昔飲み会でトマトが嫌いと言ったところ「お前は人生の半分を損してる!」と言われたことがあるので、トマトが半分、外国に行ったことがないことで半分、合わせて全損していたことになるのでしょうか。知りもしない人間に人格まで疑われて恐怖の余りどうにかなってしまいそうです。

 

意識高い系女子A:

「そうなんです!私って高校の時から色々な活動をしてたんですけど、それこそ日本の良さを伝えるためのグループ活動であったり、国連が主催するフォーラム…と言うかシンポジウムとか!あとはパネルディスカッションですかね。そこから得たものって今の自分の中で大切に育まれているし、人格形成に一役買ってるんですね。だから本当に良い経験ができたなって思います」

 

意識高い系女子B:

「へぇ、若いのに立派だよね。私も若い頃は色々な国に行ったんだけど、最近は逆に国内もありかなって。この前妹が高校を卒業したんだけど、そのお祝いに何処か行こうかって言う話しになってさ。あ、でも妹は学生だからお金ないじゃん?だから全部私が出してあげて沖縄に行ってきたのね。それはそれで結構良かったと思うよ」

 

うんうん、国連が主催するフォーラムがシンポジウムでディスカッションね。知ってる。僕も昔はパルスのファルシのルシがコクーンでパージしたもんですよ。

 

ここまでの会話を聞いていて思ったんですけど、この二人完全にお互いがマウントを取ろうとしているんですよね。完全にバトルですよ。で、Bの方は国連と言うパワーワードにビビったのか日本に緊急帰国しました。その上で財力に劣る大学生Aに対して大人の財力と余裕を披露することで改めて場を支配しようとしています。

 

意識高い系女子A:

「すごーい!そんなお姉さんが欲しかったなぁ!私も今こっちに来てるネパール人の友人がいるんですけど、そんな思いやりのあるお姉さんみたいな存在になりたいです!」

 

と思いきやAの華麗なカウンターパンチ。相手を貶めず逆に誉め称えることで罪悪感を与える精神攻撃に転じました。その上で唯一の攻撃カード『ネパール』を使用して勢いをつけることも忘れません。って言うかネパールってどこだ。少年アシベでスガオ君が転居したイエティのいる土地と言う知識しかないんですけど、そんなにメジャーな土地なんでしょうか。

 

意識高い系女子B:

「私もチリ人の友達いるよ。って言うか私って語学学校の日本講師やってるじゃん?前にチリに行った時に現地の講師と待ち合わせをしたんだけどさ、その場所が語学学校の教室だったのよ。それでいきなり生徒に紹介されて、色々交流してくれって言われて、でもこっちはいきなりのことだから訳わからないじゃん?大変だったよね」

 

そんなカウンターを物ともせずパンチを振り抜いていくB。「語学学校の日本講師やってるじゃん?」Aが既知の情報を改めて引き出して相手との格の違いを見せつけます。更に海外での咄嗟のアクシデントにも柔軟に対応した上で「大変だった」と、それほどに修羅場でありハードモードですらあり、もしかしたらナイトメアモードだったかもしれない出来事を乗り越えてきたのだと暗に伝える反則すれすれの技を披露。

 

意識高い系女子A:

「えー!ひどーい!そんなことあるんですね。お国柄かな。私だったら絶対無理です!それでしっかりと交流できたのは本当に凄いと思います!ネパールでそんなだったら今こんな風に話せてないかもー!」

 

おっとここでAが白旗を上げ…いやこれは違います。もう負けてもいい、でも片腕は貰っていくぜ。相手を必要以上に持ち上げ、自分は格下であるとアピールをし、Bを気持ち良くさせて懐柔する作戦です。確実に『試合には負けたけど勝負には勝った』と言うやつを狙っています。確かにここでBと殴りあってもなんのメリットもありません。どうせ負けるのならば必要以上に相手を煽ててコネクションを獲得し、今後の礎にしてやろうと考えているのでしょう。辛い時間帯ですが、それでも唯一の武器である『ネパール』を手放さないAに感動すら覚えます。

 

意識高い系女子B:

「まぁ、それが切欠で今の仕事を始めたんだけどね。国際交流って言うか、他の国の人と話すの楽しいなって」

 

意識高い系女子A:

「うんうんうん!」

 

意識高い系女子B:

「でもやっぱり国によって人柄も全然違うよね。チリの子は真面目だし、韓国の子はすぐに遊びに行きたがるし、生徒が変わる度に新鮮だよ。そういうのも含めて楽しんでるけど」

 

もうBを気持ち良くさせること以外考えていないAは狂ったように頷いています。あまり不自然な振る舞いをすると逆にBの機嫌を損なってしまうのではないかと思ったのですが、これがまさかのベストアンサー。「ねえ、アンコールワットって知ってる?世界で一番美しい場所なんだけどいつか行ってみたいんだ…」頬に当てた手のひら、左上空25度を見上げて、さもそこにアンコールワットが存在するかのようにうっとりとした表情を浮かべるBはもはや完全に自分の世界へと入り込んでいます。なるほど、何かの本に女性が話すことには意見せず、ただ頷いていれば良いのだと書いてありましたが、これがそういうことなんですね。

 

実際にはもっと会話内容は濃かったんですけど、半分以上は理解ができませんでした。こちらとら意識が低過ぎてもう意識がないんじゃないか。死んでるんじゃないか。って言うか死ね!って言われてるのにこんな話を聞かされていい迷惑ですよ。