フリーランスフリーラン

とくにないです

平穏な日常に牙を突き立てるもの

3年くらい前に異様に動物運の悪い年があったんですよね。

 

まぁ、基本運は悪いんですけどその年は輪を掛けてひどかった。まず山奥でクライミングをしていたらカモシカのうんこを踏みましたよね。踏んだって言うかうんこの上に座った。あー、疲れた!そろそろご飯でも食べようかしら!って石に腰を下ろしたら石の上にうんこがあった。うんこは死に、僕の尻は穢れた。

 

しかも一般的なコロコロとしたコーヒー豆みたいなうんこじゃなくて、やや液状と言うか下痢と言うか、明らかに体調を崩したヤツのうんこだったんですよ。更には生まれたてです。僕らが到着する数分前にこの世に生を受けたであろう新生児とも言える感じのヤツ。生命を感じるちょっと暖かいヤツですよ。

 

だから声にならない悲鳴をあげて飛び上がるじゃないですか。この世で一番不幸なのは僕だ…みたいな気持ちになるじゃないですか。

 

でも僕かてもう大人なんですよね。僕の周りにいる友人も大人。なんならクライミングの大先輩が同行してくれていて、この方は60歳を超えてるんですよ。だからうんこの上に座ったくらいで引かれるわけがないんです。笑い飛ばして「ほら、これで拭きなよ」ってティッシュを貸してくれるに違いないんですよ。

 

違いましたよね。

 

大人なのに「うわ!汚ねぇ!」って言いながら逃げましたもん。60歳の大先輩なんか明らかに物理的な距離を取りましたからね。いくつになってもうんこを踏んだヤツに尊厳はないんだなって。

 

ティッシュは貸してくれましたけど、なんなんですかアレ。自分が出したうんこじゃないのにティッシュで自分のお尻を拭く感じ。最高に穢された気持ちだったんですけど。アウトロー乱暴されて泣きながらシャワーを浴びる女の子の気持ちってあんな感じなんですかね。

 

で、次の話なんですけど、これもやっぱりクライミングの時の話です。

 

ライミングって山でやるので入山する前にコンビニで食料を買い込むんですよ。その日も目的地に辿り着くまでの最後のコンビニで買い物をしようとしたんですね。車を降りて入店しようとするじゃないですか。そうしたら自動ドアの横にある銀色の手すりに犬が繋がれていたんですよ。ダックスフンドです。愛玩犬として人気で手足の短いアイツですよ。「うわー、小さいなぁ」なんて思いながら前を通るじゃないですか。そうしたら、

 

ガブッ!と。足のスネ?ニートなんかが好んで齧る部分ですか。持っていかれましたよね。

 

嘘やろ。犬って人間の友達じゃないの?we are friendsじゃないの?なんで噛むの?噛むにしてもスネは痛いじゃん。弁慶も泣いちゃうところだけれど噛んだの?噛んだって言うか完全に僕のスネを持っていく感じでサッと掠め取るような感じだったんですけど。君は足だけじゃなくて気まで短いのか。あ、血です。血が出ています。血だ!助けてください!血が出ていまーす!

 

で、コンビニに逃げ込んで、先に入店していた友人に話をしたら大爆笑ですよ。オバQかって。オバケのQ太郎以外で犬に噛まれるヤツがいるとは思わなかったって。いましたよ。目の前にいるヤツがソレですよ。

 

本来ならば店内にいるであろう飼い主を見つけ出して同じ痛みを味わわせるのが人道じゃないですか。こう、飼い主のズボンをたくし上げて素早く噛みついて、なんなら「これはオマケだ」なんてニヒルに決めながらスネをペロペロしてやりたいところじゃないですか。

 

でもそのすぐ後には楽しいクライミングが待っているんです。ここで変に騒ぎ立てて皆の楽しい気持ちが吹き飛んでしまったら、それは大人のやることでしょうか。違うんです。大人は変に騒ぎ立てないし、足のスネをペロペロしたりしないんです。だからまぁ、消毒だけしてそのまま退店しましたよね。

 

最後のお話もやっぱりクライミング絡みのお話でした。なんかクライミングしかやることないんですかね。ないんでしょうね。

 

ある日いつものように自宅で天使の寝顔で床についている僕の顔の脇を、なんらかの気配が掠めて行ったんですよ。その時住んでいた家はマンションの一階で築年数も30年を超えていてGなんかが出る時もあったんです。だからその時もGだと思ったんですよね。

 

こう書くとGだったら日常茶飯事みたいな感じですけど、僕はGが死ぬほど嫌いですからね。本気でこの世から死滅して欲しいし、ドラゴンボールがあったらGが絶滅するようにお願いする…か?しないですね。なんでも願い事が叶う状況でそれはない。おっぱい関連で叶えたい願いがいくつかあるんでそちらから選択します。

 

で、謎の気配の正体ですよ。荷物をどけて気配を探ると、そこにいたのは蛇でした。

 

蛇ですよ。更にはマムシですよ。毒を持っている小粋なアイツです。何故マムシが自室に?人は起き抜けの状態で自室にマムシがいた時にどのような反応をするか。硬直するんですよ。死後硬直です。だって自室に蛇がいたのなら、それはもうターザンくらいのものじゃないですか。蛇を愛し自宅で大量の蛇を買う蛇愛好家であっても毒蛇を放し飼いにはしないでしょ。でもうちでは放し飼い状態だったんです。だって身に覚えが無いから!

 

いやいや冷静に考えてマムシが自室にいる訳がないんですよ。山奥じゃないし、マンションだし、家の目の前にはスーパーマーケットがあるような立地ですから。マムシの目撃情報なんて生まれて一度もないんですよ。でも目の前には実際にマムシがいる。マムシ?これは本当にマムシなの?もしかして…もしかしたら…おじいちゃん?数年前に他界したおじいちゃんなの?

 

一説によると蛇は『神の使い』とも言われていますよね。だとすると僕に対してなんらかの警告を行うために僕のおじいちゃんが蛇の姿を借りて枕元に…いや、でもマムシの姿を借ります?生前の祖父は寡黙で無骨、岩のような人物でした。動物で言えば満場一致で『森の賢人』ゴリラさんですよ。そう、祖父だったらゴリラの姿で枕元に立つはずです。その方が圧倒的にわかり易い。

 

じゃあ起き抜けの状態で枕元にゴリラがいたらどのような反応をするか。やっぱり硬直しますね。死後硬直です。だって自室にゴリラがいたのなら、やっぱりそれはターザンじゃないですか。どう足掻いても「おじいちゃんなの?」とはならないから来るのなら生前の姿でお願いしたいです。

 

つまり目の前にいるのは完全に野生のマムシでしょう。冷静に分析してみると数日前に山奥にクライミングをしに行っているんですよね。そしてザックを開けっ放しにしていたんです。完全にその時にマムシが入り込んでるじゃないですか。密航してる。

 

いやマムシさんサイドとしても「お、ここええやん。入ったろ」くらいの感じだったのかもしれませんが、毒牙を持つ生物が自室にいたら全く心が休まりませんよね。そして驚くことにクライミングに出掛けてからマムシに邂逅するまでの数日間、常に命の危険があったにも関わらず僕は普段と変わらない生活をしていたんです。

 

僕が食事をしている時も、ゲームをしている時も、パンツを下ろしている時も、いかがわしい動画を見ている時も、パンツを上げている時にさえマムシはそこにいて生殺与奪の権利を握っていたんです。怖い。本当に怖い。冗談めかしていますけど、改めて考えるとやばい。やばい以外の言葉が見つからない。言語中枢を破壊し、語彙を奪うほどのやばさ。

 

こんな感じで動物から受ける被害のレベルが少しずつ上がっているのを感じましたし、じゃあ次はなんだ、山で熊から性的な被害でも受けるのか、みたいな危機感を抱いていましたが、なんとか生き残りました。社会的にはほぼ死んでますが、生物学的には生きてますよ!おじいちゃん!